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EUSIメールマガジンVol.104 (2016年11月13日)「Euro-Asia Summer School体験記」(EUSIサマースクール体験記)

◆EUSIメールマガジン Vol. 104 (2016年11月13日)◇

http://eusi.jp/

EUSI (EU Studies Institute in Tokyo)は、一橋大学・慶應義塾大学・津田塾大学の3校のコンソーシアムによる、
EUに関する教育・研究・広報を行う拠点です。
(詳しくは以下をご覧ください)
http://eusi.jp/about/

【EUSIサマー・スクール参加者体験記】

「Euro-Asia Summer School体験記」
外谷毅史 (一橋大学大学院社会学研究科)

2016年8月22日より9月2日まで、私は一橋大学とKatholieke Universiteit
LeuvenにおけるThe 8th Euro-Asia Summer Schoolへ参加した。

当サマースクールは、2009年より毎年、欧州とアジアで1週間ずつ計2週間の
期間で開校されているもので、今年はEUSI(EU Studies Institute in Tokyo)、
ルーヴァン・カトリック大学、ソウル国立大学より約10名の学生が参加する
こととなった。

今年はEast Asia and the European Union in Global Governance: Compara-
tive Perspectivesをテーマに、日本及び韓国、欧州の教授・研究者によるEU
関連の講義やプログラムが組まれ、主にEUとアジアにおける地域統合やグロー
バル・ガヴァナンスについて活発な議論が行われた。
本稿では、稚拙ながら、当サマースクールでの出来事を振り返りつつ、実際に
自身が参加した上での学びや気付き、感じた事などについて、以下に述べて
みたい。

まず、8月22から8月26日における前半の一週間は、一橋大学で開催された。
台風の到来もあり、あいにく悪天候の中で初日を迎えることとなったが、オリ
エンテーションやガイダンスの後、EU専門の教授による講義が行われた。

午前は、主に欧州における人と人の交流を通じた教育や文化促進、実践プログ
ラムが紹介され、そこからアジアとの比較や日本への視座、コミュニティ強化
の重要性などが講じられた。午後には、EU法に関する講義があり、日欧の経済
連携協定や法的課題、リスボン条約の規定などが説明された。

私はとりわけ、前半の欧州における地域コミュニティの話が興味深く、シェン
ゲン協定で定められた人の自由な移動の保障や・・・
 ・・・
(続きはこちら↓)
http://eusi.jp/collaboration/report/summer-school-2016-sotoya/

【EUSIイベントご案内】

1. 日本EU学会・EUSI共催「第37回(2016年度)日本EU学会研究大会」

日時: 2016年11月26日(土)-27日(日)
場所: 一橋大学 国立西キャンパス本館 (東京都国立市中2-1)

共通論題「自由・安全・正義の領域 難民・テロとEU」

参加: 事前登録不要 (どなたでも参加できます)
詳細は以下をご覧ください
http://www.eusa-japan.org/?page_id=18

2. 新三木会より以下の講演会のご案内が届いています
第76回講演会「英国のEU離脱をめぐる諸問題について」

日時: 2016年11月17日(木) 13:00-15:00
場所: 如水会館 スターホール (東京都千代田区一ッ橋2-1-1)

演題: 「英国のEU離脱をめぐる諸問題について」
講師: 小平龍四郎 (日本経済新聞社論説委員)

英国にとって失うものが多い「Hard Brexit」になるのだろうか。
来年3月末迄、離脱を通告、2年間の公式交渉開始となる。EU残留より移民の
受入制限を重視する政策に、独仏は厳しい姿勢。英国のEU向け輸出は45%、EU
の英国向けは16%。英国へ進出の外国企業も、関税見直し等で大陸移転を検討
し始めている。

昨今、英米の「退潮」を懸念する雰囲気が高まっております。11月はまず英国、
来春2月は米国の今後を占うテーマです。まだ不透明ですが、英国の将来は
「Hard Brexit」で失うものが大きいのか否か英国通の小平講師に予測していた
だきます。

参加: 会費2000円・婦人1000円・学生無料、事前申込要
名前・卒年・所属(例:一般・紹介者)を明記し、shinsanmokukai@gmail.comまで
お送りください
http://jfn.josuikai.net/circle/shinsanmokukai/

3. 駐日EU代表部より以下のシンポジウムのご案内が届いています
シンポジウム「死刑について議論しよう」

日時: 2016年11月17日(木) 17:30-20:00 (17:00開場)
会場: 駐日EU代表部 ヨーロッパハウス講堂 (東京都港区南麻布4-6-28)

本年10月、日本弁護士連合会が、2020年までに死刑制度の廃止を目指すとする
内容の宣言を採択しました。死刑制度の廃止は、世界的な潮流ではありますが、
日本では、内閣府の世論調査によると、同制度の存置を求める声が多数を占め
ています。死刑の存廃については、これまで社会で広く議論されることはあり
ませんでした。

よって、本シンポジウムは、死刑制度に賛成する人、反対する人、そしてよく
分からないという人にもご参加いただき、考え、議論する場を提供することを
目的としています。それぞれの立場の法律専門家から、直接お話を聞くことの
できる貴重な機会です。ドキュメンタリー映画『望むのは死刑ですか: 考え悩
む世論』の上映も予定しています。皆さまのご参加をお待ちしています。

17:30-17:35 開会挨拶 イスティチョアイア=ブドゥラ (駐日EU大使)
17:35-18:45 パネリストによる問題提起 (各30分)、質疑応答
18:45-19:45 映画『望むのは死刑ですか: 考え悩む世論』(長塚洋監督) 上映
19:45-20:00 質疑応答

パネリスト:
小川原優之弁護士 (日本弁護士連合会死刑廃止検討委員会事務局長)
高橋正人弁護士 (全国犯罪被害者の会[あすの会]副代表幹事)
司会: ファビアン・フィエスキ (駐日EU代表部公使参事官)

主催: 駐日EU代表部、言語: 日本語
参加: 無料・事前申込要 (11月16日17時まで)
Eメールにて、件名に「シンポジウム」と入れ、お名前とご所属を明記の上
(日英併記)、delegation-japan-political@eeas.europa.eu までお送り下さい
http://www.euinjapan.jp/events/symposium-letstalkaboutdp/

4. アジア太平洋EU学会 (EUSA AP) 2017年度研究大会報告募集のお知らせ

アジア太平洋EU学会(EUSA AP: EU Studies Association Asia Pacific)の年次
大会が、2017年度は日本がホスト国となり青山学院大学にて開催されます。
以下研究報告を募集しております。奮ってご応募ください。

共通論題「The Roles of the EU and Asia Pacific in the Global Era」

応募資格: 研究者及び大学院生 (修士課程・博士課程含む)
応募書類: 報告タイトル及び報告概要 (英文300 words) を応募期間内に提出
応募期間: 2016年10月1日(土)-12月31日(土)

採否通知: 2017年3月15日(水) 報告者は採否通知受信後10日以内に要確認返信
報告論文締切: 2017年5月31日(水)

研究大会本番日時: 2017年7月1日(土)-2日(日)
研究大会本番会場: 青山学院大学 青山キャンパス

詳細は以下アジア太平洋EU学会 (EUSA AP) の研究大会HPをご参照下さい
http://eusaap.org/12-events/eusa-ap-events/21-2017-call-for-papers

【EUSI所属研究者による記事・執筆情報紹介】

田中俊郎 (慶應義塾大学名誉教授、ジャン・モネ・チェア、EUSI理事)
「小国ベルギーの魅力を探る」(草刈隆郎・冨田章・東野篤子氏らとの座談会)
『三田評論』第1205号(2016年11月1日) 10-25頁
http://www.keio-up.co.jp/mita/index_1611.html

中西優美子 (一橋大学大学院法学研究科教授、EUSI所長)
「EU欧州逮捕状枠組み決定の実施と基本権の保障」
【EU法における先決裁定手続に関する研究】
『自治研究』第92巻第11号(2016年11月) 113-124頁

中西優美子 (一橋大学大学院法学研究科教授、EUSI所長)
“Animal Welfare in the European Union’s External Relations Law”, in
Jeremiah Weaver, Animal Welfare (Nova Science Publishers, 2016), pp.125-45
https://www.novapublishers.com/catalog/product_info.php?products_id=59997&osCsid=

【EUに関する新刊紹介】

遠藤乾『欧州複合危機 苦悶するEU、揺れる世界』
(中公新書、2016年10月20日刊行)
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/10/102405.html
http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/098146.html

本書の著者である遠藤乾先生より、本書のご紹介を頂きました。

—————
危機だらけのEU。もう終わりなのか。
ユーロ危機、ウクライナ危機、難民危機、テロ、そしてイギリスのEU離脱。
この後は、どこかの加盟国における極右の政権掌握であろうか。

この本では、それらを「複合危機」としてとらえ、個々の事例を抑えたのち、
全体像を一筆書きしてみたかった。
具体的には、歴史的な文脈に照らして検討し、政治的な要因を分析し、内的な
連関をさぐった。そうすることで、どんな意味で「危機」なのか、なぜその
ような状態に陥ったのか、今後どうなっていくのか、日本や世界への影響は
あるのかといった問いについて、一通り見当をつけられるようにできればと
いう企図である。

タイトルの「複合」ということばに込めた意味は、「複数性」「連動性」
「多層性」である。
つまり、今回のEUを襲っている危機が従来と異なるのは、単発ではなく複数の
危機が同時多発的に襲ってきているという点にあり、またそれらがお互いに
連動し、相乗効果をもたらしているところにある。

加えて、危機は、国際、EU、加盟国といった多層にまたがり起きている。
世界ないしユーロの危機が、緊縮財政を経由して、スコットランドやカタルー
ニャなどの地域主義の再興に寄与し、国家統合の危機となって加盟国の内政に
甚大な影響を与え、ときにそれがまたEUに跳ねかえる構図ともなっている。
本書は、そのように多層にまたがり連動する複数の危機を問う。
 ・・・
(続きはこちら↓)
http://eusi.jp/outreach/outreach-report/endo-2016/

遠藤乾 (北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院教授)

【EUに関するニュース】

2016年10月14日 ベルギー南部ワロン地域議会、EU・カナダ包括的経済貿易協定(CETA)反対決議を可決
2016年10月15日 伊、来年度予算案発表。財政赤字はGDP比2.3%。欧州委員会提示の1.8%を大幅修正
2016年10月16日 英サンデータイムズ紙、ジョンソン現外相の「残留支持」表明の未発表原稿を掲載
2016年10月16日 クレッグ英自民党議員(元副首相)、EU離脱条件をめぐり英議会の審議及び採決を要求
2016年10月17日 EU外務理事会、シリア人道支援や難民に関する周辺国との合意作業などを協議
2016年10月17日 EU外務理事会、2016-17年EU新グローバル戦略実施優先事項や2016年CFSP報告を採択
2016年10月17日 EU環境理事会、温室効果ガス排出削減や持続的な水資源管理、生物多様性など協議
2016年10月17日 英・NZ、通商政策に関する定期会合開催で合意。EU離脱後の通商協定締結に向けて
2016年10月17日 ライト英法務長官、EU離脱のEU基本条約第50条発動後には取消は不可との見解表明
2016年10月17日 スハーケ欧州議員、滝沢外務大臣政務官を表敬。日・EU EPA交渉や英EU離脱など協議
2016年10月18日 EU外務理事会、EU・カナダ包括的経済通商協定(CETA)の完全合意に向け暫定適用協議
2016年10月18日 EU総務理事会、2014-20年度中期EU予算中間審査や立法手続上のEU機関間調整等協議
2016年10月18日 第2回EU・イラク協力協議会、ブリュッセルで開催。IS掃討協力や人道支援など協議
2016年10月18日 欧州委員会、移民・難民の第三国とのパートナーシップ枠組実施に関する報告書発表
2016年10月18日 ECB、欧州委員会とEU理事会にビットコインなど仮想通貨の規制強化を求める意見書
2016年10月18日 第6回EU・中国ハイレベル経済通商対話、過重鉄鋼生産や市場アクセス・投資等協議
2016年10月18日 駐日EU代表部にて報道機関向けの観光推進ワークショップを開催、16加盟国が出展
2016年10月19日 欧州委員会、不公正貿易への防衛策強化や反ダンピング措置に関する政策文書を提示
2016年10月20日 ECB理事会、主要政策金利据置き。量的緩和延長を12月理事会で判断、含み持たせる
2016年10月20日 EU・中国、排出量取引(ETS)協力に関する学術会議開催。EU・中国ETS協力の一環で
2016年10月20日 EU、初の「欧州統計の日」。欧州市民の間で統計に対する意識を高めるために制定
2016年10月20日 スコットランド政府、独立問う2度目の住民投票案公表。2014年住民投票に沿う内容
2016年10月20-21日 欧州理事会、難民危機や日・EU EPA等FTA交渉状況協議、英EU離脱通告に関し報告
2016年10月21日 第3回欧州・地中海文化間対話フォーラム、マルタで開催。若年層雇用や移民等協議
2016年10月21日 モゲリーニ上級代表、南アフリカとブルンジの国際刑事裁判所(ICC)脱退意向に遺憾
2016年10月21日 欧州委員会、教育助成「Erasmus+」来年度募集開始。25億ユーロ規模で前年比13%増
2016年10月24日 財務省貿易統計、9月対EU貿易(速報値)は輸出6872億円・輸入6498億円で374億円黒字
2016年10月24日 メイ英首相、スコットランドやウェールズなど英3地域政府代表とEU離脱に関し協議
2016年10月24-25日 EU・韓国、核不拡散セミナーをソウルで開催。北朝鮮核開発の進度や対策等協議
2016年10月24-28日 第13回EU・中国競争政策週、海南島で開催。企業合併や法制度など競争政策協議
2016年10月25日 欧州委員会、租税回避対策で単一市場域内の共通連結法人課税ベース(CCCTB)を改正
2016年10月25日 欧州委員会、一時的なEU域内国境管理を3カ月に限り延長するようEU理事会に勧告
2016年10月25日 欧州委員会、赤字削減目標を大幅修正の来年度予算を発表した伊に説明求める書簡
2016年10月25日 英コリンズ社、EU離脱国民投票含むキャメロン英前首相の政権期回顧録出版を契約
2016年10月25-26日 EU・CELAC(中南米・カリブ諸国共同体)閣僚会議、持続的成長や将来の協力等協議
2016年10月26日 欧州委員会、新たな欧州宇宙戦略を提案。宇宙開発や欧州宇宙産業の競争力強化など
2016年10月26日 イタリア中部でM5.5の地震。30日にもM6.6の地震。欧州委員会、支援調整など実施
2016年10月26-27日 NATO国防相理事会、地中海密航船対策のEU・NATO連携やイラク軍訓練拡大等協議
2016年10月27日 欧州議会、2016年度サハロフ賞をクルド系少数派ヤジディ教徒の2名の女性に授与
2016年10月27日 ベルギー政府、南部ワロン地域のEU・カナダFTA反対に対し調整。同国もFTA支持表明
2016年10月28日 ゲオルギエヴァ副委員長、世界銀行最高経営責任者(CEO)就任で欧州委員辞意を表明
2016年10月28日 欧州委員会、国際海事機関(IMO)の船舶燃料消費データの義務化などの取組を歓迎
2016年10月28日 欧州委員会、対話アプリWhatsApp社に対し親会社Facebookとの個人情報共有を問題視
2016年10月28日 北アイルランド高裁、EU離脱手続開始に北アイルランド議会の承認必要なしとの判断
2016年10月29日 スペイン下院、ラホイ暫定首相を正式に選出。2015年総選挙以降3度目の総選挙回避
2016年10月30日 EU・カナダ定期首脳協議、包括的経済貿易協定(CETA)及び戦略連携協定(SPA)締結
2016年10月30日 モルドバ大統領選挙、親露派・EU懐疑派のドドン社会党党首が1位。来月決選投票へ
2016年10月31日 日本・EU、北朝鮮人権侵害非難決議案を国連総会第3委員会(人権)に提出。12年連続
2016年10月31日 EU倫理委員会、バローゾ前委員長のGoldman Sachs傘下社会長就任は思慮欠くと批判
2016年10月31日 カーニー英中銀総裁、EU離脱の混乱回避のため任期1年延長表明、2019年6月末まで
2016年10月31日 駐英日本大使館ほか、日系企業と英議員との懇談会開催。企業活動環境めぐり協議

【編集後記】

今年のノーベル文学賞にボブ・ディランが選ばれました。
スウェーデン・アカデミーによると、彼の詩人としての偉大な業績に対して
与えられるものだそうです。確かにディランは、1960年代からそのメッセージ
性の高い歌の数々によって、世界的な大スターになりました。その後も音楽的
な実験を重ねて多くの楽曲を発表し、卓越した歌詞を書き続けてきたことは
間違いないところだと思われます。しかし、彼の曲と歌詞(詩)を切り離して評
価することには、いささか無理があるのではないかという気がしてなりません。
2012年にEUがノーベル平和賞を受賞しました。その理由は、60年以上にわたっ
て、欧州の平和と和解、民主主義や人権の向上に貢献してきたというものです。
欧州統合というものが平和な欧州を構築するという目的で出発したことは事実
であり、また、経済的な豊かさをもたらしてきたことも事実ですが、その一方
で、1990年代の悲惨なユーゴ紛争の経験や長年の民族や人種に対する差別と
貧困の問題などを指摘して、この受賞を疑問視する声も存在していました。
ノーベル賞の中でも文学賞と平和賞については、その選考結果について議論の
分かれるものが多いのは、やむを得ないことかもしれません。また、賞という
ものは、それをもらう時には大騒ぎをするものですが、その後は意外と早く
忘れ去られてしまうように思われます。最近EUの各地で見られる移民排斥の
機運の高まりや、予想外のBREXITと政治経済面における将来の不透明性の増大
などを考えると、EUは果たして本来の目的に向かって進んでいるのか、改めて
原点に返って考えてみることが必要かもしれません。

(藤川哲史・EUSIメールマガジン編集担当)

11月9日という日は世界史的に非常に大きな意味を持つ日なのかもしれません。
1989年のこの日にベルリンの壁の崩壊が始まり、また1918年には皇帝ヴィル
ヘルム2世が退位しその後の第一次世界大戦の休戦につながるなど、ドイツ
では「運命の日」と呼ばれています
そのような数奇な運命を持つこの日の米大統領選挙で、米国民がドナルド・
トランプ氏を選んだことは、米国内はもちろん日本や欧州など世界中に大きな
インパクトを与えました。米国の利益を第一に優先し、同盟国には米国の利益
にかなうよう応分の負担を要求し、クリミア危機やシリア情勢などで米欧と
対立し異なる価値や秩序観を持つプーチン大統領を尊敬し、通商条約では保護
主義的な立場を取り、移民・難民問題や気候変動やマイノリティに対する姿勢
などでもこれまでのオバマ政権の取ってきた政策とは異なる主張を繰り返して
きました。
現在は政権移行期にあたり、来年1月に発足するトランプ新政権の主要ポストに
誰を配するのか注目が高まっています。そのようななかで、EUとの関係では、
中東情勢や対ロ政策、環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)交渉、さらには発効
したばかりのCOP21パリ協定など、さまざまな問題をめぐって今後トランプ政権
とどのように折り合いをつけてゆくか難しい舵取りが求められることになるで
しょう。
今回の米大統領選挙が示したものは、エリートなどエスタブリッシュメント
(既得権益)に対する社会の不満や、反グローバリズム、格差拡大に対する反対、
移民やマイノリティに対する非寛容など、ある意味で欧州でも起こっている
世界的に大きな流れの中に位置付けることができるかもしれません。来年には
フランスやドイツでも国政選挙が行われるなど、EU側でもそれまでのリーダー
シップが大きく変わる可能性があります。その時に、EUや日本・米国を含めた
世界はより強靭で安定した秩序を形成することができるのか、我々は今後一層
注視してゆく必要があるように思われます。

(林 大輔・EUSIメールマガジン編集担当)

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