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【EUに関する新刊】川野祐司『ヨーロッパ経済とユーロ』(文眞堂 2016年10月28日刊行)

kawano-2016川野祐司『ヨーロッパ経済とユーロ』(文眞堂 2016年10月28日刊行)
http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book4920.html

本書の著者である川野祐司先生より、本書のご紹介を頂きました。

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ヨーロッパ経済を学ぶ難しさに範囲の広さがある.EUの加盟国は28カ国もあり,28カ国の経済プロフィールや抱える課題は大きく異なっている.EUが関与する政策も多岐にわたり,次々と打ち出される政策を全て把握するのは不可能だ.メディアは問題が起きたときに偏った見方のニュースを断片的に伝えるだけにとどまっている.本書はそのような状況を打破し,ヨーロッパ経済への理解を深めることを目的としている.

第1部:EUの経済政策
第1章:ヨーロッパ経済の今,第2章:EUの仕組み,第3章:欧州2020と地域政策,第4章:EUの経済ガバナンス

第2部:ヨーロッパの国々
第5章:ドイツとフランス,第6章:ベネルクス・イギリス・アイルランド,第7章:北欧諸国,第8章:南欧諸国,第9章:中欧・バルカン諸国,第10章:東欧諸国

第3部:ユーロ
第11章:ユーロの基礎知識,第12章:ユーロの金政策,第13章:ユーロの金融政策の歩み,第14章:ユーロと経済を巡る諸問題,第15章:ヨーロッパのマイナス金利

第1部ではEUの経済政策を扱っているが,取り組みの具体例を数多く紹介している.複雑でわかりにくい経済ガバナンスも整理されている.第2部では38の国・地域を紹介している.27カ国・48枚の写真や観光情報はヨーロッパをよりよく知る手掛かりとなる.第2部では移民・難民問題,インダストリー4.0,バリューチェーン,租税回避など多くのトピックが盛り込まれている.第3部ではユーロの金融政策やマイナス金利などを扱っている.国際金融や金融政策に関係する読者にとって第3部は必読文献になるだろう.

ヨーロッパ経済に関する著作の多くは複数の著者によるものであるが,本書は1人の著者によって書かれており,テーマ,表現など一貫性が高い.そのため,数多くのトピックをコンパクトにまとめることができている.読み進めていくにしたがって,より難しいトピックにも挑戦できるようにも配慮されている.

ヨーロッパに関心のある読者にとっては読み物として,ヨーロッパ経済の勉強を始めたい読者にとっては1冊目のテキストとして,プロのエコノミストやアナリストにとっては最新ヨーロッパ経済の情報源として手元に置いておく価値が高い1冊である.

川野祐司 (東洋大学経済学部教授)